少し前(2019年5月)に発行された「ウェブデザインの思考法」を読みました。
デザインが語られて久しいものの、そして日々新しい技術ややり方が出てくるものの、ずっと使えるスタンダードが整理されていてオススメです。
ウェブデザインの思考法 (Business×Design×IT) 単行本(ソフトカバー) – 2019/5/31
余計なものを省いて、スタンダードを取り上げたからこそのわかりやすさ
初心者向けへの書籍では特に「ウェブとはなんぞや」で、こういったパーツで作られているんだよという説明が載っていたりしますが、この本では機能や役割が体系的にまとめられています。
例えば、「デザイン要素」を8つに分類しています:
配色/タイポグラフィ/写真やイラスト/アイコン/シェイプ/デコレーション/インタラクション・アニメーション/レイアウト
いわば、これらの属性をそれぞれのパーツは持っているわけです。
そのパーツ(「エレメント」と呼んでいますが)、見出しやボタンやテキストに「デザインする」ことでパーツを変化させていきます。
その変化のさせ方は「機能性」と「情緒性」に大別できます。
そして機能性は7つ、情緒性は6つに分類されます(詳しくはAmazonの目次などで見てください)。
その分類を上記のデザイン要素に加えるかどうかを判断していくのが、つまり変化させるかどうか、「ウェブデザイン」というわけです。
そのロジックが明瞭に説明されているのが、この本の特徴で、ここが1つの「共通言語」で理解されていると、デザイナーもコーダーもエンジニアも、仕事が速く、またいいクオリティに仕上がります。
「センス」だとか「フィーリング」、「直感」で語られてきたことになんとなくモヤモヤしていた人向けです。すっきりさせられます。
最後の5章でまとめられた「立案方法」で、このスタンダードの活かし方がわかる
しかしクライアントさんはこれを逐一理解する必要はありません。
これをどのようにカタチに落とし込んでいくか、そしてそれを説明するか、その「翻訳作業」が最後の章、「戦略・要件定義フェーズにおけるデザイン作業とデザインコンセプトの立案方法」です。
いわゆる実践編です。
「どんなサイトを作ろうか」という企画段階からクライアントへの提案資料作成に至るまでの間に、上記のロジックをどのように使っていくのかが役立つ形で説明されていました。
ここまで「なんぞや」「これはこういうもの」という店舗で下準備してきた材料を一気に火にかけて調理するかのようで爽快です。
著者の方もnoteできっかけなどを説明しておられました。
ウェブにはウェブの、ウェブしぐさ
DTPのエディトリアルデザインと異なり、「機能性」の点で特にウェブはウェブの「ウェブしぐさ」があります。
もうこれだけ社会インフラとなった今、利用者やクライアントさんもそのウェブしぐさをわかっているつもりでも、役割をすっきりとは説明しにくいもので、説明する側の制作者もまたきちんと理解するのに役立つかと思います。