ランサーズという仕事受発注サイトがあります。そこでの問題点がブログ界隈で燃えていました。
ランサーズやってみたけど地雷クライアント案内所にしか見えない(kosuke.cc)
予算はあらかた低い。ウェブページは安いところに頼めば5万円で出来る!と言い張る。アプリは10万円でLINEのようなものが作れると思っている。30万円出せばmixiやはてなくらいのサービスが出来上がり、100万円出せばfacebookが完成すると信じてやまない。そんな方が地雷の方には多い。私にとってランサーズが役に立たないたった一つの理由(Handmade Future!)
ランサーズをはじめとする既存のクラウドソーシングサイトがまったく役に立たないのは、クライアントに対して自分を売り込まなければいけない仕組みになっているためです。
わたしもランサーズはじめクラウドソーシングを受発注両方で活用はじめて1年ちょっとというところです。言いたいことすごくよく分かります(笑)
ランサーズは2013年後半頃から広告やメディアでも見られるようになり、案件数もどっと増えたと同時に泡沫受注者も増え全体的な質感が変わってきた感はあります。
リテラシーが低いのは、受注者だけでなく発注者も
今回のテーマに見積の相場と品質というのがありますが、ランサーズというか、クラウドソーシングは全体的に同じ問題を抱えているように思えます。
個人の依頼者もそうですが、スタートアップ企業とか、独立した人とか、デザインやメディア関係のつながりを多く持っていない人はこういった販促関係のコスト感が安めの人が多い気がします。
また技術者として生きてきていて、細かな価格交渉はニガテというタイプも少なくありません。
結果として、技術職に関する正当な評価が、依頼する方も仕事する方も定まってないままになってるのかもしれません。
仕事への評価を語り始めたら、ブラック企業とか介護職とかどうなのよと話は広がってしまいますが。
クラウドソーシングの外ではどうなのか
クラウドソーシングから離れて仕事を依頼される(依頼する)としても、その相場観が分からないという人も実際少なくないのではないでしょうか。ロゴをデザインしよう、と思って調べて出てくる相場のピンキリ感。
広告宣伝で見かける価格はどれも格安や価格破壊をうたったものばかり。そしてできるならできる限り節約してすませたい、と。
地方の零細企業やお店はCMや雑誌、新聞などの宣伝経験がない所も多く、それほど予算もないため全体的な相場は高くありません。
わたしもそういった環境に合わせた仕事をしていたため、”正当な”相場を聞くと違う世界のように感じていました。
そういった仕事に実際に携わってみると、きっちりと”ちゃんと”やろうとすると、大手がその価格でやっているにはワケがあることがよく分かります。
価格交渉の問題はクラウドソーシングだから起きてるんでない、普通の市井の人たちもそこまで意識は持っていないこともあるのではと思います。
ネットの功罪の一つで、ウェブに集約されるとより顕著に問題点が浮き彫りになってくるわけです。
“もう終わった”サービスというよりも、これから成長しないといけない市場なのかも
こういった仕事紹介サイトは以前からありましたが、盛り上がりを見せてきたのはここ3,4年というところではないでしょうか。
その中でもランサーズとクラウドワークスは2大勢力。
それ以外の会社は、数をまず集めるのに四苦八苦していて、上記2社のような運用してのトラブル解決は2の次となっている気がする。安さを売りにしているところほど”地雷”クライアントがそこかしこに埋まっている気配があります。
なんでもクラウド化しはじめて、逆にローカライズも進んでいって、というのが現在のネット業界の趨勢なので、クラウドソーシングもそのまっただ中で揉めてる感じです。
つまり、今は過渡期に起きる問題なのではないかと思う
仕事の受発注のマクロ化とグローバル化を考えると縮小はしない市場だと思います。なのでもう少し七転八倒があってカタチが整う気がします。
だから業界や市場を育てていくくらいの感覚で、はやりのグロースハックってやつでしょうか、サービスプロバイダやリーダー、ユーザーが成長させ作っていくというくらいの感覚で見ています。
ヤフオク!やYouTUBE、最近話題のwebサービス群だってそんな感じです。
試行錯誤して色々試して、これはクライアントからしたらアウト、これは制作者的にダメとかやっていきながら、ダメな受注者は淘汰されていきながら、いい感じに成熟していく余裕がまだあるのではないでしょうか。
ま、もう痛い目はこりごりだとか、オレはこの品質では使わないよという人はひとつの勢力です。
ユーザーにダメだしされながら改善していって元締めとしては市場を成熟させて頂きたいところです。
育っていったら、そのときはそのときの問題がある気はしますがw
現状それぞれよくしようと取り組みをしている
今回、冒頭のブログがbuzzりはじめてすぐにランサーズ社長の秋好さんはブログで反応していました。具体的な策は出ていないけどなんとかしようという気概は好感を持てます。
実際この1,2年観察していると、楽天のような”鵜飼い”のようなシステムではなくて、なんとか受発注の場を正常化しようとバックボーンとして試行錯誤しているのは分かります。
47都道府県おじゃまします!フリーランス交流会だとか、福利厚生サポートだとか、評価システムだとか、チャット機能だとか、大手企業との連携だとか。それがうまくいっているかの判断は置いておいて、問題点をある程度元締めの方も認識していて、なんとかしようとしているんだととらえています。
一利用者からの要望
とりあえず品質管理ですね。プロジェクトであれば途中、そして例えば納品時のサポートをしたり。
それがしっかりできてくるなら、自ずと結果や評価が伴ってくるかと思います。そういった優良ユーザーを相手にした対応とをしていたらいい仕事も人材も集まってきます。
今取り組み始めているようなスキル認定とかエキスパート制度をもっと進めて、この程度のスキルや評価となった人しか、このレベルのプロジェクトには参加できないとか、それくらい排他的に進められる依頼の仕方もないといけないのかもしれません。
そして受注者側の意識の底上げ。
ネットだからこそ問題点が集約され顕在化されやすいなら、逆にネットだからこそ受注者の意識もそこあげできるんではないかと。その喚起の仕方はすぐには思い浮かびませんが。すでに今でもだいたいこれくらいの相場ですとの表示はしているようですしね。
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クラウドソーシングは、働き方の、スキルの、そして地域の格差社会への挑戦と見えます。
同じ仕事やクライアントだけではスキルも上達しません。
また地方にいくほど制作料金は低いため、スキルや経験も上がらないしクライアントの意識も業務もなかなか向上しません。
ぜひ価格破壊ではなくて、既存のワークスタイルの固定観念を変えたり、現存するこういった格差にも影響のあることだと思うので、市場として成長してほしいと望むところです。